畑中正人
2004年6月29日
なんだか、音楽をはじめた時も、札幌で活動しはじめた時も、ドイツで作曲していた時も、そして
東京に拠点を移したいまも、個人的に何かが妙に引っ掛かる。
僕らが聞いている、もしくは聞かされている「音楽」とは一体何か? という事だ。
基本的に好きなもんを聞いていればいいわけだけど、年々言葉にならないわだかまりが大きくなる。
理由がよくわからなくて、もしかしたら自分は音楽が嫌いなんじゃないかと思う時すらある。
無論、音楽を聞くのも好きだし、作るのはもっと好きだし演奏するのも好きだ。
しかし、この業界に深入りするようになればなるほど、疑問は深まる。
要はつまらないんです、音楽のあり方が。
日本は特にそうですけど、歌もろくに歌えないのがアルバム出したからってTVや雑誌に必要以上に
露出して、CDを大量に売って、派手なライブをやって、たくさんの人がそれらにお金を払って、
物凄いお金が動いて、っていうのが果たして幸せな事なのでしょうか。レコード会社が推進する
「売れる音楽」を何も疑いもせずにホイホイ買っていればそれでいいのでしょうか。
10年以上も同じ事を思っているけど、この構図はあまり変わっていない気がする。
いや、これでいいんだろう。これが現実だし、そういう社会なんです。
と、ごまかせなくなっています。 もう。
少なくとも個人的には。
何か職人さんのような仕事に憧れて、勉強して、作って、こだわって、また勉強して、とやっている
のがアホらしくすら感じます。
確かに音楽ビジネスっていうのは職業音楽家にとっては避けられないもんです。そしてそれはアーテ
ィスト(っていう言い方も嫌です)ひとりでは絶対に出来ない。それを支えてくれるスタッフの人た
ちの力があってのものです。しかし、アーティストを育成する事はあってもそのプロジェクトに関わる
全員が育って高め合っていくって事が年に何回くらいあるんでしょうか。ディレクションやプロデュー
スに関わる人は本当は「音楽」の事をどう思ってどう接しているんでしょうか。 今はタレントなんか
でも非常に若年化が進んでいますが、それは世間にうけるからなんでしょうか、それともまだ右も左も
わからない子と関わっている方が楽だからなんでしょうか(そういう環境を望んで表に出ていく人には
何も言えないし、見かけたらTVのチャンネル変えれば済む話)。
とにかく何かがおかしい。何かが歪んでいるんです。と思っている僕がおかしいんでしょうか。
ただ個人的にいまの「売れる音楽」もしくは「音楽をたくさん売る」というシステムと音楽の在り方に
は本当に興味がない、それだけは言えます。誤解を恐れずに言えば。
ただ、人にもの申す前にまず売れてみろ、ってのがこの世界の掟でしょうから、そこは逃げずに正面き
って走りきりますが。
むかし僕の音楽を聞いたある人から「リスナーをバカにしているんじゃないか?」と言われた事があり
ました。確かにわかりにくい音楽だし、そうなのかなとも思いました。でもその一方で、勝手に聴衆に
迎合して、「ほら、わかりやすいだろ?」ってやって来るメジャーな音楽の方がよっぽど聞く方をバカ
にしているんじゃないか、そう思っていました。だって人はそんなにバカじゃない。一生懸命訴えてい
けば何かは伝わるんじゃないか、心からそう思っていました。
思えば僕らの世代(70年代生まれ)からははじめから物に溢れていた時代。与えられたものを何も考え
もせずに手にしていたわけですから、こういう歪んだ連鎖に毒されている事もあまり意識しないのかも
しれません。 そもそも音楽を「記録」して売る事自体、一体どういうはじまりでこうなったんだと思う
し、別に生で演奏していればそれでよかったんじゃないかと、そう思うとレコードだとかCDっていうメ
ディアそのものも果たして正しいやり方だったのか、そこまで疑問視してしまいます。
でもそれでも音楽で生計を立てたい自分がいる事も確かですが、別に大金持ちになりたいわけじゃない。
普通に暮らしていければいい。でもそうさせないシステムがあるわけです。どちらかを選べと。つまり
ガンガン売れて稼ぐ道と、細々と生活に危機感を感じながら生きていく道のどちらかを。
(どちらにしても毎日楽しく生きたいもんです)
とまぁここで不毛な回想を綴ったところで誰の役にも立っていないし、何も解決しないんですが。
でも何かが違うと思った時、それらをいったん壊すのも前進するためには必要な事です。
たとえ自分のようにしょぼい存在の音楽家でも戦える時には戦わないといけない、そう思うわけです、
勇気を持ちながら。そして、あらゆるメディアによって形作られた現在を疑いながら、見抜きながら、
壊しながら、作り替えながら。
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