第6回:責任

                                畑中正人

一見「責任」なんて言葉に縁がないように思えるこの職業。
芸術表現の自由なんて事もごくごく当たり前のように言われているが、
果たして、そうだろうか?
ただ好きなものを好きなように作っていればいいのか?
自分の個性をただ表現していればいいのか?

確かに好きな事をすればいい。自由に表現をすればいい。
でもそれ以前に作り手としての「責任」を考えている人は今現在どのくらいいるのか。

もっとはっきり言えば、交通費をかけて会場まで駆け付けて、なおかつ入場料を払って、長い時間
じっと我慢(しなくていいけど)して見ているお客さんの気持ちをどこまで作り手側は考えている
のかという事だ。

以前マスコミに取り上げられていたが日本で芸術観賞(舞台、映画なども含む)をする人が減ってい
るという。これは作り手側にかなりの責任があるのでないか、僕はそうとらえている。
自由、個性、芸術、表現という言葉を武器に、実際にはただの垂れ流し、もしくはただの露出に終始
する「アート」を何度も見て来た。アンダーグラウンドの仮面をかぶったぬるま湯やアカデミックな
おごりを目撃する事も多かった。自分はそうなっていないか、 作品を作った後考えるのはいつもその
事ばかりだった。

アートや作品を作るという行為は別にアーティストだけに与えられた特権じゃない。
その事を作り手自身がもっと真剣に自覚すべき時代にとっくに来ているのでないかと思う。

そして、受け手は作り手以上に多くの事を見ている。

うわべの自由よりも、逃げずに責任を取る。これが当たり前の筋ってもんじゃないのか?

                                      2004年4月1日





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